これからの営業活動を変える今話題のセールステック 知っておくべき基本のキ
DX推進DX用語
近年、新型コロナウイルスの影響もあり、ビデオ会議サービスを利用したオンラインミーティングやSaaS(Software as a Serviceの略で、アプリケーションソフトウェアを使用する際のクラウドサービス)など、多くのテクノロジーが劇的に進化を続けています。そんな中、営業活動においてもテクノロジーの力が及んでいるのはご存知でしょうか。今回はそんな営業領域におけるテクノロジー「セールステック(Sales Tech)」についてご紹介していきたいと思います。
- 調査概要
セールステックとは
セールステックとは、営業(=Sales)と技術(=Technology)の用語をかけあわせた造語であり、テクノロジーによって営業活動の生産性向上や、企業の業務効率化を図る手法やツールのことを指します。欧米では多くのスタートアップ企業が参入するなど、すでに市場が確立され、盛り上がりを見せています。
日本国内においても、まだ馴染みの浅い言葉ではありますが、近年は働き方改革や人手不足により業務効率化が求められ、導入を進める企業も増えてきました。
セールステックが注目されるようになった背景
セールステックが注目されるようになった背景としては以下の2点が挙げられます。
労働力人口の減少
近年、少子高齢化により、労働人口も減少しているという現状があります。その結果、営業活動においても従来のように営業人材の確保が難しくなり、より効率化が求められるようになったのです。
また、働き方改革の影響もあり長時間労働が見直されるようになりました。営業職の多くの従業員は、短時間で成果を上げなければならないという量から質への変化が求められています。そこで、ITで解決できる業務は効率化し、人でしかできない業務は営業によって行うという考え方が普及したのです。
ITの発達
これまでも効率化を促すための営業支援ツールは存在していましたが、外出の多い営業担当は、入力が遅れることや情報のアップデートが遅くなってしまい、なかなか定着していませんでした。しかしスマートフォンの普及によって、出先でも手軽に入力できる営業支援ツールが増加し、営業情報がデータとして統一して管理できるようになりました。個人の営業スキルに頼っていた営業スタイルも、ITによって営業活動の効率的な方法が予測や分析ができるようになったのです。
セールステックの7つのカテゴリー
セールステックには、①営業加速ツール②カスタマーサポート③インテリジェンス・解析④顧客関係管理⑤顧客体験⑥コンタクト・コミュニケーション⑦人材開発・コーチングの7つのカテゴリーが存在します。
①営業加速ツール
営業活動の効率化と生産性の向上を図るためのツールです。
営業活動において改善が必要な個別の事柄をそれぞれで取り組むのではなく、トータルで考えることで最適化を図り、それらを管理するツールになります。商談の進捗状況や営業の数字予測などをまとめて管理することにより、営業情報がわかりやすく可視化できるため、セールステックで最も注目されているツールになります。
②カスタマーサポート
カスタマーサポートは、文字通りお客様の困りごとに対するサポートシステムです。
Q&A やお問い合わせに対して自動で返信するツールなどがこれにあたります。主に通販業界やインサイドセールスに活用されています。
③インテリジェンス・解析
営業上で得られたデータを最大限に活用するためのソリューションツールです。
高度な情報集約やビッグデータによって、顧客の課題を抽出したり、営業戦略を立てたりすることが可能になります。過去の商談を分析することによって現在の商談においてのアドバイスや営業トークを示してくれるという機能もあります。
④顧客関係管理
商談の予定や内容、顧客の関係性などの顧客のデータベースを管理する際に利用されるツールが顧客関係管理です。
CRM(顧客管理)がこのツールの代表例になります。顧客の基本情報や、セグメントに分けたメール配信、アンケートや予約フォームの作成など、顧客との関係に関わる業務を円滑に行うことができるという利点があります。
⑤顧客体験
お客様の体験価値向上のために利用されるツールがこの顧客体験です。お客様が商品やサービスを購入する過程において、感動体験や擬似体験などを得られることで、売り上げの増加を図ることができます。お客様の興味、購入、利用といった企業との接点を1つ1つきちんと洗い出し、整理をすることで、顧客ロイヤルティの向上も可能です。
⑥コンタクト・コミュニケーション
お客様の目線に立ち、問い合わせ対応の品質向上を目的とした手法です。例えば、リアルタイムで会話ができるチャットやwebを利用した資料共有などがあります。新型コロナウイルスの流行から、お客様とオンラインでのコミュニケーションが普及していますよね。そういった中でも密にコミュニケーションが取れるよう考えられたのがこの手法です。
⑦人材開発・コーチング
営業人材を教育・育成するためのツールです。
例えば、営業パーソンに対してのオンライン講座や評価システム、アプリケーションなどがあります。トレーナーと双方向でコミュニケーションが行えるツールが多くリリースされており、営業パーソンの1人1人の売り上げ向上によって、現代の人材不足の中でも人件費を抑えつつ大きな利益を目指すことが可能です。
これら7つをまとめてセールステックと呼びます。
セールステックの発展により求められるスキル
セールステックの普及によって、今までの営業職に必要だったコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキルに加え、2つの戦略的スキルが必要になります。
1つ目は数字で正しく判断し解析するスキルです。
データを膨大に集め蓄積しても、数値から課題や傾向を見出すことができなければ意味がありません。セールステックを活用するためにも、分析データを正しく読み取るスキルが必要になります。
2つ目はITの進化に対応できる知識です。
セールステックの活用によって、これまでの営業活動とは全く違う動きが出てきています。今後も次々に便利なツールが登場していくことでしょう。新しくできたツールをきちんと活用することができれば数字にもきちんとつなげることができます。そのためにもITに関する知識は常に新しくインプットを続けていく必要があります。
まとめ
今回はセールステックの基本から7つのカテゴリーについてご紹介しました。
- ・セールステックとは、テクノロジーによって営業活動の生産性向上や、企業の業務効率化を図る手法やツール
- ・セールステックには、①営業加速ツール②カスタマーサポート③インテリジェンス・解析④顧客関係管理⑤顧客体験⑥コンタクト・コミュニケーション⑦人材開発・コーチングの7つのカテゴリーが存する
- ・セールステックを正しく活用するために、数字を読み取るスキルとITに関する知識のアップデートが必要
今後もさらに発展していくセールステック。労働人口の減少によって、セールステックの導入は企業にとって必要不可欠となるでしょう。自社の課題を適切に解決できるセールステックの導入と人材の育成は避けては通れない課題ですね。