今取り入れたい広告手法 デジタルサイネージと広告の関係性
DX推進
駅の構内や店頭、病院や空港など日常における様々な場所で活用されているのが、デジタルサイネージです。主に情報の発信で利用されることが多く、ディスプレイ技術の向上や通信環境の整備が進むにつれて普及が拡大しました。
株式会社CARTA HOLDINGSの調査によると、2021年のデジタルサイネージ広告市場規模は594億円の見通しで2025年には1083億円と予測され、需要が高まってきていることが分かります。
出典:CARTA HOLDINGS、デジタルサイネージ広告市場調査を実施
~2021年のデジタルサイネージ広告市場規模は594億円の見通し、2025年には1083億円と予測~
鈴木脩一
研究員/広報
- 調査概要
デジタルサイネージとは
デジタルサイネージとは、施設や駅など、人が多く通る場所にディスプレイやプロジェクターを使用して情報を発信するシステムです。広告発信で利用されることが多いですが、最近では案内板や体験型コンテンツとして幅広く活用されています。
デジタルサイネージの歴史
1970年代にアメリカで世界初のデジタルサイネージが誕生しました。今のようにディスプレイやプロジェクターといった専用の機械はなかったため、テレビでファッションショーの映像をアパレルショップの店頭で流していたことが始まりとされています。当時はパンフレットやポスターなどの紙を使った宣伝が主流であり、映像を使用することは非常に珍しく、多くの人の注目を集めました。
日本で登場したのも1970年代半ばと言われており、同様に店内にビデオデッキとテレビを設置して動画を流すようになりました。1980年代に入ると都市部で大型ビジョンが導入され「新宿アルタビジョン」等が注目を浴びます。
デジタルサイネージの仕組み
デジタルサイネージにはスタンドアロン型とネットワーク配信型と大きく2種類の仕組みが存在します。
スタンドアロン型はPCで制作した動画などのコンテンツをUSBメモリーやSDカードに書き込み、そのデータを表示させます。ネットワークが不要な為、必要機器さえあればすぐに稼働することが出来ます。
ネットワーク配信型はデジタルサイネージ機器が、Wi-Fiなどのネットワークを通じて、ディスプレイに表示させる方法です。その中でも専用サーバーを利用する「オンプレミス型」とクラウド環境を用意し、そこにコンテンツを置いて配信を行う「クラウド型」があります。
遠隔で操作が可能である点から表示させるコンテンツが複数ある場合や、遠方に店舗があるような時に適しています。
デジタルサイネージ広告が拡大中!
デジタルサイネージ広告は人通りが多いところなど、あらゆる場所で見られるようになりました。
現在、デジタルサイネージ広告市場は代表的なものとして「交通広告」「屋外広告」「店内広告」と3種類に分けられます。
交通広告は、駅や電車内に掲示されるものがよく知られていますが、近年はタクシーや道の駅等にも広がっています。
屋外広告は、店舗壁面に掲示されており、通行人に対してインパクトを与え、広く宣伝することが可能です。
店内広告は、店内に設置される広告で、来店客に宣伝する役割を持ちます。
このように私たちの身近な場所で、様々な場所に広がりました。
デジタルサイネージ広告のメリット
1. 設置場所に適したターゲットへのアプローチを強化できる
デジタルサイネージ広告は、映像や音声を発信できることから、従来からあるポスターやパンフレットよりも情報量が多くインパクトがあると言われています。
その為、ターゲットの目に入りやすく、視覚的に印象を与え、音声も付加することで聴覚的にアプローチすることも可能です。また、テレビCMなどのターゲットを絞れない不特定多数に向けた広告と比べて、デジタルサイネージ広告は設置場所によってターゲットを定めて、宣伝することができる点も特徴です。
2.非接触の広告PRが可能
1、駅構内
駅の構内は、多くの人が往来・利用するため、注目を集めやすく、壁面や柱などに設置されています。従来の看板やポスターと違い、動画を再生できるデジタルサイネージは、駅の利用者に対して印象を与えられるプロモーションが可能です。
2、フィットネスクラブ・ジム
フィットネスクラブやジムの壁面に設置し、休憩中などにデジタルサイネージを使用した広告を見てもらうことができます。ジムに通う人は美容意識が高いため、美容商品などの広告を配信することで、ターゲットを絞って商品宣伝を行うことが可能です。
3、薬局
調剤薬局などでは待ち時間があることが多く、利用客に向けてデジタルサイネージで薬や健康商品情報の発信に有効といえます。待ち時間に健康情報を知り、効率的に時間を過ごすことができます。
これから急拡大していく商業施設・店舗
今後最も拡大が予想されているのが、商業施設・店舗のサイネージです。
デジタルサイネージを活用することにより、対面販売での来店客との新たなコミュニケーション手法として、利用されるのではないかと考えられています。
デジタルサイネージ広告を見た来店客に広告の印象が残り、店員と話すきっかけになるかもしれません。また、収入手法としてデジタルサイネージ広告への投資意欲が高まってきています。
今までは、待ち時間が長い病院や薬局、美容院を中心に市場が拡大していましたが、飲食店内などチェーン店舗を中心に様々なサイネージが出てくると予想できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
デジタルサイネージ広告は店頭で映像をテレビで流す…というシンプルな形で始まり、ディスプレイや通信技術の発達と共に進化してきました。映像や音声による表現で印象強い表現、設置場所に適したターゲットへのPRが可能なことから広告媒体としての大きなメリットが期待されます。
また、コロナ禍で急速に進んだデジタル化の中で、遠隔からの操作・更新が可能なこともDX推進の流れの中で需要が高まることは間違いありません。
新たな手法としてのデジタルサイネージ広告に今後もご注目ください。