飲食業界のDX そのメリットや事例
DX推進生産性向上
経済産業省「経済解析室」の2023年7月のレポート*1では、2022年は飲食店・飲食サービス店の業界が活況を取り戻しコロナ禍を経て3年ぶりの上昇傾向にあることが記されています。普段の生活でも以前と変わらない形で外食を楽しみ、さらにはコロナ禍でシェアが広がったデリバリーフードサービスはより私達の生活にも浸透したと言えます。
活況を取り戻しつつある一方で飲食店同士の競争はますます激しくなり、働き手不足の問題など様々な課題があることも事実です。この課題解決に向けて飲食業界においては様々なDXへの取り組みが行われています。
今回の記事ではこの飲食業界DXについてその必要性やメリット、事例をご紹介します。
*1:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/kako/20230714minikeizai.html
- 調査概要
飲食業界のかかえる課題
飲食業界でDXが進められている背景には様々な課題がありますが、主に以下の2点が考えられます。
人手不足
提供される食事の品質の高さや接客の丁寧さから、海外の観光客からも評価が高いのが日本の飲食店の特徴です。一方その背景には、従業員の営業時間外の仕込みや準備といった過重労働の問題が常に取り沙汰されています。さらには賃金が上がりづらいことも重なり、飲食業界を希望する人も減り、慢性的な人手不足が飲食店の課題です。
今後少子化が進む中で労働力不足は避けられない中でこの人手不足への対策は急務と言えます。
多様化するニーズへの対応
消費者のニーズは日々変化しており、ますます多様化の傾向にあります。外食産業ではヘルシー志向からハイカロリーなジャンクメニューまで世代や性別により様々なニーズが生まれています。また、ヴィーガン向けメニューやハラルフード等様々なバックグラウンドを持つ人々への対応も海外からのインバウンド客が増える中で重要です。
こういった消費者のニーズや顧客データを収集し、応えていくことは競争力の強化にも繋がることが期待されます。
他店に埋もれない集客施策
飲食店にとっていかに集客を行うかは非常に重要な課題です。消費者はスマホなどでいつでも多くの飲食店の情報に触れることができます。飲食店側はこの膨大な情報の中で如何に自分のお店の魅力を伝えられるか、来店したくなるような仕掛けを用意する必要があります。
TVCMなどのマスメディアでプロモーションを展開できる大手外食チェーン以外の飲食店では、よりデジタルを利活用した効率的な集客対策は必須と言えます。
飲食業界のDX事例
クラウドサイネージの活用
ここ数年、タッチパネルでメニューを見たり、注文したりする経験が増えたことを皆さんも実感していると思います。これまで紙などで出力、掲示したメニューをデジタルに置き換える動きは利用者側のメリットだけでなく飲食店側にもメリットを生んでいます。
特に多店舗展開しているチェーン店などでは新しいメニューの更新に伴い、データの作成から印刷・配送・掲示といった費用や人的なコストがかかっていました。サイネージ、特にデータクラウドから読み込む方式のサイネージでは編集されたデータが一括で配信されるため、非常に効率的です。各店舗のスタッフはメニューの更新にかかる手間が減り、労働時間の削減にも寄与されます。
また、ランチタイムとディナーの間でのメニューの切り替えなども自動で行えるためよりリアルタイムにユーザーのニーズに応えることで売上の向上も期待できます。
顧客データの活用:来店者情報の見える化
来店している顧客情報を分析することで、店舗の強みや弱みを把握してメニュー開発や集客等様々な施策に活かすことができます。しかし、日々の業務に加えて顧客の情報を逐次収集することは非常に難易度が高くなります。
NTT東日本では映像解析の技術を活用して、「来店者情報の見える化」できるサービスを提供しています。
様々な人物データを学習したAIを活用することで、入店者数のカウントだけでなく、性別や年令といった細かな収集が可能です。さらには売上データと紐づけることでより詳細なターゲット別の購買率も「見える化」できます。
データ収集に関わる業務が効率化できるだけでなく、効果的な施策の足がかりとなることで今後様々な飲食店での展開が予想されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は飲食業界のDXに関してご紹介しました。日本国内の飲食店はその多様性やクオリティの高さから世界中から注目の的です。この飲食業界が持続的に発展を続けていくためにも、諸問題を解決するDXの流れは今後ますます大きくなることが予想できます。