イーロン・マスク、国や自治体も注目する「スーパーアプリ」とは?
DX用語
イーロン・マスク氏が2022年にTwitter(現:X)を買収した際に様々な改革案が示されました。その一つがTwitterアプリを「スーパーアプリ化」するというものです。従来のSNS機能だけでなく、決済機能などを含めてあらゆる社会行動の中心におく、というのがその狙いです。今回の記事では現在改めて注目が集まっているこの「スーパーアプリ」についてご紹介します。
- 調査概要
スーパーアプリとは
スーパーアプリとは、消費者が生活のさまざまなシーンで利用できるアプリの総称です。交通、飲食、買い物、行政サービスなど、さまざまなジャンルのサービスをワンストップで利用できる点が特徴です。スマートフォンが広く普及し、人々の生活に身近になったことでさらにその需要が高まったと言えます。
スーパーアプリが誕生したきっかけ
このスーパーアプリという概念は2010年代初頭に中国で開発されたWeChatやAlipayなどによって生まれたと言われています。当時、中国ではスマートフォンの普及が急速に進んでいましたが、さまざまなサービスごとにアプリをインストールする必要があり、利便性に課題がありました。
この課題を解決するために、中国のIT企業は、複数のサービスを統合したスーパーアプリの開発に取り組みました。その結果、2010年代後半に、中国でWeChatやAlipayなどのスーパーアプリが普及したと言われています
WeChatは、メッセージングやソーシャルメディア、決済、タクシー配車、フードデリバリーなど、さまざまなサービスを提供しています。Alipayは、決済や送金、ショッピング、タクシー配車など、さまざまなサービスを提供しています。
スーパーアプリのメリット
スーパーアプリのメリットは、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
利便性の向上
スーパーアプリを利用することで、さまざまなサービスの利用にかかる手間や時間を省くことができます。また、複数のアプリを使い分ける必要がなくなるため、操作がシンプルになります。
経済効果の向上
スーパーアプリの普及により、経済活動が活性化される可能性があります。スーパーアプリを活用することで、消費者は新たなサービスや商品に出会う機会が増え、企業は新たな顧客を獲得しやすくなります。
行政サービスの向上
スーパーアプリを活用することで、行政サービスの利便性が向上する可能性があります。行政サービスにアクセスしやすくなることで、市民の行政参加が促進され、行政の効率化にもつながります。
佐賀市が市民の困りごとを解決するために開発した「佐賀市公式スーパーアプリ」について開発に至るまでの経緯や担当職員の想い、また、DXを活用してどんな街を目指すのかというストーリーをご紹介します。
— 佐賀市公式 (@sagacitykoho) October 18, 2023
PRTIMESのSTORYはこちらhttps://t.co/XXjLtOkRD6
2023年6月には大分県佐賀市で「佐賀市公式スーパーアプリ」がリリースされるなど、各市区町村単位でも導入が進められています。
スーパーアプリのデメリット
セキュリティリスク
スーパーアプリに個人情報や金融情報を登録する必要があるため、セキュリティリスクが懸念されます。万が一、情報が漏洩した場合、大きな被害を受ける可能性があります。
独占の懸念
スーパーアプリを提供する企業が独占的な地位を獲得した場合、消費者の選択肢が狭まる可能性があります。
日本におけるスーパーアプリの導入状況
民間企業では、LINEヤフー株式会社が「LINE Pay」や「LINEデリマ」などのサービスを統合したスーパーアプリ「LINE」の開発を進めています。また、楽天グループは「楽天ペイ」や「楽天市場」などのサービスを統合したスーパーアプリ「Rakuten Pay」の開発を進めています。
自治体では、先ほど紹介した佐賀市の他にも仙台市等が導入を進めており大都市圏から地方都市まで広く検討がすすめられています。
NTTデータ東北、スマートシティポータルアプリ「EYE-Portal」を活用したサービスを仙台市に提供 https://t.co/B0916DCmSf pic.twitter.com/6YJ3mU8UWH
— クラウド Watch (@cloud__watch) November 28, 2023
自治体によるスーパーアプリへの取り組み
自治体では、スーパーアプリを活用して、行政サービスの利便性を向上させる取り組みが進められています。
具体的には、以下の取り組みが検討されています。
行政手続きのオンライン化
スーパーアプリを活用することで、住民票の写し取得や印鑑登録などの行政手続きをオンラインで行うことができるようになります。
福祉サービスの利用促進
スーパーアプリを活用することで、子育て支援や高齢者支援などの福祉サービスを利用しやすくなります。
災害時の対策
スーパーアプリを活用することで、災害時の避難情報や安否確認などの情報を迅速に配信することができます。
まとめ
スーパーアプリは、生活のさまざまなシーンで利用できる、利便性の高いアプリです。日本でも、民間企業や自治体による導入が進められており、今後、さらなる普及が期待されています。
ただし、セキュリティリスクや独占の懸念など、課題も存在します。これらの課題を解決しながら、スーパーアプリを活用した、より便利で安心な生活の実現が期待されます。