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パンフレットが活きる!東京ゲームショウで展開したwebARの魅力とは
2023年9月21日から24日まで、千葉県幕張メッセにて日本最大のゲーム総合展示会「東京ゲームショウ2023」(以下、TGS2023)が開催されました。アクアスターは6年前の2017年から毎年TGSへの出展行っており、今年も9月21~22日のTGS2023ビジネスデイに出展しました。
出展したブースでは様々な実績が飛び出して見えるARコンテンツを盛り込んだパンフレットを配布しました。今回の記事ではこのARコンテンツについて開発メンバーよりご紹介させていただきます。
- 調査概要
開発経緯
今回、TGSにブースを展開したのは自社コンテンツ体験を通して、来てくださった方々に自社のイラストの実績やAR技術等を知ってもらう目的で出展致しました。また、今回のブースのテーマが「IPコンテンツに魔法をかける 」がテーマであったため、それに沿った様々なARコンテンツ制作を行っています。ご紹介するパンフレットのARコンテンツもその一環です。
自社マーカーARコンテンツを選んだ理由
今回のARコンテンツにはアクアスターのマーカーARコンテンツを採用しました。
弊社のマーカーARコンテンツの強みは、従来のマーカーデザインにとらわれずにフレキシブルにコンテンツに組み込めることです。
現在、ARコンテンツのマーカーというと皆さん四角い・モザイクのようなQRコードのデザインを思い浮かべると思います。しかし、現在スマートフォンの画像認識精度も向上しており、QRコードのようなマーカーらしいマーカーではなく、「画像マーカー」と呼ばれる特定の画像などをマーカーにすることも可能となりました。それにより、従来のパンフレットデザインを大きく変更することなくパンフレット内にARコンテンツを組み込めるのです。
開発過程で苦労した点/その解決方法
主に苦労した分野は2点あります。
マーカー精度の向上
1点目はマーカー精度の向上についてです。
今回のパンフレットでは上述した画像マーカーを使用しました。しかし、そのままでは画像の認識精度が良くないため精度向上のために、元画像を高画質な画像に変更したり、画像全体をマーカーとするのではなく、背景の要素を抜いたり、画像範囲を広げるなどの画像要素の取捨選択を行い、認識精度向上に努めました。
ARコンテンツの演出
2点目はARコンテンツの演出に関する点です。出現する際の演出はデザイナーとデモ作成の段階から何度も話し合って今回のアクアスターが掲げる出展テーマ「IPコンテンツに魔法をかける」の世界観に合うように制作いたしました。
出現演出にはパーティクルシステムというエフェクト制作が効率的に行えるシステムを取り入れ、煙の表現を追加し、3Dモデルも切り替わりのように一瞬で出てくるのではなく、拡大とスピードに緩急をつけた出現演出にこだわり、よりワクワクが伝わるような演出を心がけました。
その際に豪華な演出が実現したものの、スマートフォンにかかる負荷の問題にも直面しました。そのため、煙を出す演出の際に煙の数を減らし、代わりに一つ一つが大きい煙に変更をすることでパーティクルで発生する負荷を減らしたり、真上から当たる光を消して「光が当たっている様に見える色」を3Dモデルに付けたりすることでスマートフォンにかかる負荷を軽減いたしました。
TGS2023での反響と改善点
>『出てくる時に派手で良い!』
前述した通り、この部分の演出はデザイナーと何度も相談をして開発しており一番時間をかけて開発した部分です。この反響は狙いが伝わり、開発側としては嬉しく感じました。
>『くるくる回転するのがいい』
こちらは印象に残るように、回転する際に慣性を残すようにプログラムしています。
>『認識が滑らかでした』
ARの出現演出のみではなくマーカーなどが見えなくなった時にも演出を入れているので、動きが滑らかに感じられると思われます。
>『パンフレットとスマホの距離に個人差が生まれていたため、距離感を万人で固定できるような仕組みが欲しかった』
AR認識で出現するコンテンツの大きさについては開発側も最後まで吟味しており、最終的にスマホに表示される円とマーカー画像の円状の部分が一致すると、ちょうどいいサイズになることを想定して作成いたしました。
ただその場合スマホをコンテンツにかなり近づけなければいけないため、今後はマーカーコンテンツを作成する場合、マーカーとスマートフォンの距離想定をしっかりと考える必要があると感じました。また、二本指で広げると拡大する機能などを実装し、そのような不安要素を取り除くのも手かもしれません。
その場合には操作方法・機能自体の説明も必要になってくるため、コンテンツが使用される場面に応じて検討していきたいと思います。
まとめ
今回はTGS2023でアクアスターが展開したWebARについてご紹介しました。今後WebAR技術の展望として「高度なAR技術が身近になっていくこと」が予想されます。
例えば、これまで手の動きを読み取って動く『ハンドトラッキング』などの高度なトラッキングをスマートフォンでリアルタイムに行う場合、専用のアプリケーションをインストールする必要がありました。しかし最近ではWebARにもハンドトラッキング機能が実装されたため*1、より身近に体験できることが可能になっています。
今後もより身近になっていく高度なAR技術に着目し、それらの技術を取り入れることで幅広い表現方法を可能にしていきたいと思います。
- 定量調査概要
- *1
https://www.moguravr.com/8th-wall-hand-tracking/