業務のデジタル化だけではダメ?マーケティングDXのその実現と課題
DX推進


鈴木脩一
研究員/広報
- 調査概要
はじめに
皆さんは「マーケティングDX」と聞いてどんなイメージを持ちますでしょうか?マーケティングとDX、と聞くと「デジタルマーケティング」を想像する方も多いと思います。
しかし、「デジタルマーケティング」という言葉は知っているが「マーケティングDX」と聞くとその正確な意味や違いを説明できないという方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな「マーケティングDX」について詳しく見ていきたいと思います。
マーケティングDXとは?
マーケティングDXとは、売れる仕組みを作るというマーケティングの過程において、デジタル技術を用いることでその変革をもたらすことを指します。
マーケティングDXを導入することによって、リピート顧客(ファン)を増やすために必要なUX(顧客体験)の変化が期待できます。UXとは、顧客が商品やサービスを利用するにあたって体験する価値のすべてを指します。
UXについての記事はこちらから
マーケティングDXでは、それらのプロセス全体にメスを入れることにより、根本的なビジネスの変革に役立つのです。
デジタルマーケティングとマーケティングDXの違い
デジタルマーケティングはSNSやスマートフォン内のアプリケーション、ウェブサイトを活用してマーケティングを行う手法を意味します。一方でマーケティングDXとは、デジタル技術を用いてマーケティングプロセスにメスを入れ、ビジネスそのものを変化させることです。
SNSやインターネット広告といったデジタル技術を用いて、顧客にアプローチを行うのがデジタルマーケティングであり、デジタル技術を用いて販促方法などより広範囲にビジネス自体を変革していくのがマーケティングDXというわけです。
その意味ではデジタルマーケティングはあくまで手法の一つです。マーケティングDXを推進する上で、顧客へのアプローチとして採用する手段としてデジタルマーケティングが採用されます。
マーケティングDXを行うメリット
マーケティングDXのメリットは大きく分けて2つあります。
1つ目は02Oマーケティングが可能になるということです。
「O2O」とは「Online to Offline」の略で、オンライン上の宣伝によって、実店舗などのオフライン環境に足を運んでもらうことを意味します。または実店舗からオンライン上への集客誘導(Offline to Online)も同時に指します。コロナ禍によってオンラインショッピングが普及したものの、実際に商品を手に取って見たい方もまだまだ多いのではないでしょうか。マーケティングDXの取り組みとしてSNS上でクーポンを発行して、実店舗に集客するということも出来ます。
2つ目は、マーケティングオートメーション(MA)です。マーケティングオートメーションとは、顧客開拓を自動的に行うマーケティング手法のことを指します。
例えば、自社の商品をダイレクトメールで宣伝する際に「サイトに来た人」「反応が無い人」といったようにターゲットの反応を細分化し、それぞれに適したアプローチを行う場合、すべて人の手で行うことは非効率的でミスも発生しやすくなります。そこで膨大なデータの処理をすべてシステムで自動化することがマーケティングオートメーションです。効率的且つ適切な顧客アプローチが実現できます。
マーケティングDXの成功事例
それではここでマーケティングDXとして成功した事例をご紹介いたします。
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社『Coke ON』
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、モバイルアプリ「Coke On」を提供し、マーケティングDXに成功しました。ユーザーがアプリを自販機にかざして購入すると、15本購入で1本無料になるというサービスを展開スタンプと無料特典クーポンという新しい顧客体験を誕生させました。また、獲得したクーポンは友達にプレゼントもできるという機能でデジタルとリアルを連携しており、先ほどご紹介したO2Oマーケティングを加速させる成功事例といえます。
凸版印刷株式会社
凸版印刷株式会社は、従来の印刷工程で必要となっていた製版の工程無しでデータからそのまま印刷する「デジタルプリントソリューション」というサービスをマーケティングDXのもとで導入しました。その結果、製版に関わるコストがかからず、小ロット印刷やバリアブル印刷(1枚1枚異なる文字や画像などを印刷していく技術)も可能になるメリットが生まれました「必要なものを、必要なときに、必要な分だけ」生産することでお客様の多種多様なニーズに応えることが出来るようになったのです。
マーケティングDXの導入課題
ではマーケティングDXを推進していくにあたって必要なことは何でしょうか。
ポイントは、「データの管理と分析方法の見直し」「外部パートナーとの連携」です。
マーケティング領域において、デジタル化により多くの業務を最適化している企業は多いものの、個別最適化にとどまり、総合的な目標の達成に至っていないということが課題に挙がっています。
会社の部署や部門ごとではなく、データを一元管理することで、より総合的にデータの処理や分析を行うことができます。その結果、どの分野の向上によってKPI(組織の目標を達成するための評価指標)が達成されたのかが分かり、組織全体の課題や目標が設計しやすくなります。従ってデータの管理とその分析方法を見直していくことは非常に重要です。
そこで必要となるのが、IT知識やデータの分析スキルを持った外部パートナーとの連携です。自社ですべて行うことを考えるのではなく、外部パートナーと連携することで、よりマーケティングDXの成功確率が高まります。
まとめ
今回はマーケティングDXについて詳しく見ていきました。
- マーケティングDXとは、デジタル技術を用いることで、マーケティングプロセスに変革をもたらすことを意味する
- マーケティングDXを行うことで、O2Oマーケティング、マーケティングオートメーションが可能になる
- マーケティングDXを推進していくにあたって「データの管理と分析方法の見直し」「外部パートナーとの連携」が必要になる
以上の3点が重要になります
マーケティングDXは、ビジネスそのものを変革する必要があるため、経営層の理解と協力、従業員への共有が必要不可欠になっていきます。2018年の経済産業省『DXレポート」*1ではDXが進まなければ、2025年以降、最大で年間12兆円もの経済損失が生じる可能性があると言われるほど、日本国内でもその取り組みの重要性について示唆されています。少しずつでも、DX化に向けて自社内で検討を進めていくことが重要です。
*1:経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html