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「教育DX」が学校を変える?

DX推進DX用語

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デジタル化やDXを進める流れは、学校を中心とした教育現場にも広がりつつあります。
2020年に文部科学省は『文部科学省におけるデジタル化推進プラン』の中で以下のように提言しています。

「国全体でデジタル化の取組が進む中、教育分野においても全般にわたりデジタルの効果的活用を図ることで、これまでにない可能性を新たに生涯を通じた学びにもたらすことが期待される。」*1

今回の記事ではこの教育現場におけるDXについて取り上げたいと思います。

*1: https://www.mext.go.jp/content/20210412-mxt_jyohoka01-000014099_13.pdf

調査概要

教育におけるDXの必要性



効率化による教員の労働時間削減


現在学校教育の現場が抱える問題の一つに、教職員の長時間労働が挙げられます。
2023年に文科省が実施した調査*2によると、前回調査した2016年と比較して在校する時間は若干減少したものの依然として残業時間含めて長時間労働が顕著であるとまとめられています。特に授業とその準備・学習指導にかかる時間は増加の傾向にあり、評価・採点の効率化や生徒情報の管理ツールなどのデジタル化による労働時間の削減が必要です。

*2: https://www.mext.go.jp/content/20230428-mxt_zaimu01-000029160_1.pdf

生徒一人一人に最適化された指導の実現



従来の日本の学校教育では、一人の教師が提供する統一された指導内容を集団で同時に学んでいました。生徒ひとりひとりの習熟度に関係なく授業が進むため、早く理解できた生徒は同じ内容を反復したり、まだ理解が及んでいない生徒はそのまま次の単元に進んでしまったり…という状態になり教師は常にバランスを考える必要があります。
現実問題として、前述の労働時間の問題もあり、教師が一人一人の生徒の習熟度合いに応じた教材やテストを用意することは難しい状況です。

そこで生徒のテストの点数や習熟度に応じて、最適な問題を自動的に判断して提供する「デジタルドリル」と呼ばれる学習教材による指導の最適化が求められています。

ボーダレスな教育の場の提供


感染対策として普及したリモート授業は、教育現場のDXの最たる例と言えます。当初は従来の授業の代替案としての色合いが強かったリモート授業ですが、同時にそのメリットも着目されるきっかけとなりました。

インターネットを活用して遠隔地から授業を行えることにより、物理的な制限を超えて教育機会を与えられるメリットが生まれます。また、海外や離れた場所にいる専門的知見を持つ講師からの直接指導や、海外を含めた外部の学校との交流も期待できます。

教育DXの事例


システムによる情報共有で業務効率化


教育現場の業務の効率化として現在広がっているのが「校務支援システム」と呼ばれるものです。主に生徒の出欠、成績、保健に関わるデータから教職員の出退勤にいたるまであらゆるデータをクラウドで一元管理するシステムを指します。

学校の業務に特化したシステムのため、既にリスト化された生徒名簿に出欠状況を選択して入力していくだけで出欠管理を行えたり、成績や生徒に関する情報が一元で管理されていたりするためスムーズに情報を活用できます。
これまで情報がバラバラに管理され、属人的に行われていた作業が統一されることで教職員同士でも業務の分担が容易になり、負担の軽減につながることが期待されています。

AI型教材で一人一人に特化した指導


教材のデジタル化が進む中で特に注目されているのがAIを活用した教材です。



株式会社COMPASSが提供するAI型教材「Qubena(キュビナ)」はAIが生徒の理解度の進行に合わせて最適な問題を出題するシステムです。同社のプレスリリース*3によれば、現在では全国170以上の自治体で、小中学校2,300校の100万人以上が既に利用しています。

文科省が採択した教科書の見出しや項目とも連動することで、統一された学習内容で生徒は取り組むことができます。管理面においても、教師はシステム上で生徒の解答データを正答率や解答時間まで詳細な情報の確認が可能です。また、ブラウザで稼働するWebアプリケーションのため、アプリのインストールも不要で導入がスムーズなことから現場では支持されています。

*3: https://qubena.com/blog/pr-20230905/

まとめ



いかがでしたでしょうか?今回は教育現場におけるDXについてご紹介しました。教育現場の業務効率化により教師が本質的な指導に集中できるようになり、集団教育では難しかった指導が可能になるなどの様々なメリットが期待されます。
一方で、現状では担い手となる学校側にDXを推進できる人材が不足しているとの指摘もあります。今後は民間企業からの人材的な支援や、教育DXを推進する企業や学校への行政からの支援などがさらに求められそうです。

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