「採用DX」が人材獲得のカギ
DX推進採用活動
現在、多くの企業にとって人材採用が重要なテーマになっています。少子化による新たな働き手不足や、デジタル化推進にむけて専門技術を持った人材の獲得競争の激化等様々な課題が山積みです。求める人材と効率的にマッチングし、的確なアプローチを行うために重要なのが「採用DX」と言われています。今回の記事ではこの採用DXのポイントについてご紹介します。
鈴木脩一
研究員/広報
- 調査概要
採用DXとは
採用DXは一般的に採用活動にデジタル技術・データの分析を統合し、効率的で戦略的な方法で新しい人材を採用するためのアプローチと言われています。
具体的には採用者の情報や蓄積された社内データを活かした選考、日程調整を初めとする面接プロセスの改善、候補者エンゲージメントの強化、企業と候補者・企業内の担当者間のコミュニケーションの改善等が含まれます。
採用DXのメリット
採用DXの推進によって様々なメリットが期待されています。ここではその一部をご紹介します。
採用活動の効率向上
最も分かりやすい採用DXのメリットの一つは採用者情報や選考結果のデータ化による効率向上です。
この採用情報の管理には現在、主にATS(Applicant Tracking System)と呼ばれる採用管理ツールが活用されています。応募者の履歴書等の応募書類の管理はもちろん、企業側と応募者との間で日程調整を行ったり、面接官の選考結果入力も行えたりすることが主な特徴です。
採用に関するデータの確認と業務が一括して行えるため非常に効率化の向上が期待されています。
データドリブンによる質の向上
応募者の書類選考やアプローチ、またスカウトサイトに登録している人へのアプローチなどは採用担当者を初めとして属人的に行われることも少なくありません。そのため判断基準が人によって異なることで、経営陣との認識の齟齬が生まれたりすることもありました。
応募者・候補者に適性検査を事前に実施し自社の成長人材の傾向と照らし合わせる等、判断基準を属人的にせず質の高い一貫性のある人材採用を実現できます。
候補者エンゲージメントを高める
各企業ともに人手不足が叫ばれており、新卒採用・中途採用ともにより売り手市場が続いています。結果的に優秀な人材には多くの企業からのオファーが集まり、いかに自社の魅力を伝えて候補者のエンゲージメントを高められるかがポイントになってきます。
その際には企業の魅力を伝えるだけではなく、候補者が企業とレスポンスよくコミュニケーションが取れるかどうか疑問や質問にスムーズに答えてもらえるかどうかの体験が重要です。
採用DXによる業務効率化はこの候補者を顧客とみなした体験（CX）の向上、エンゲージメントを高められる可能性があります。
採用DXのポイントや注意点
データセキュリティ
採用管理システムに情報が収集される一方で、履歴書や適性検査等個人情報の保護に注意することが重要です。社内で基本的なセキュリティ対策を実施することはもちろん、情報にアクセスできるメンバーを限定するなどのルールづくりも必要と言えます。
候補者体験を優先する
採用DXを導入する際には先程もふれた候補者の体験(CX)をまず最優先に考える必要があります。採用側の使いやすさや効率化を優先するあまり、候補者にとって使いにくいフローになってしまっては意味がありません。エンゲージメントが下がると他社への入社を優先する自体も想定されるため、効率化と候補者体験の両軸でDXの推進が必要です。
社内トレーニング・マニュアル化の徹底
ATSのような採用管理システムは社内の採用メンバー全員が活用できなければ意味がありません。人事担当者だけではなく、面接官や選考結果入力を担当する現場社員や経営陣等も機能を把握することで効率的に採用フローを進めることができます。
その為、従業員に新しいツールやプロセスを導入する際には導入前のオリエンテーションやいつでも閲覧ができるマニュアルやFAQを準備しておくことも重要です。
採用DX事例:AIによる面接の試み
採用DXで現在特に注目されているのがAIの活用です。 AIを使用して応募者情報を自動的に分析し、最適な候補者を選別する企業も増加しています。さらに、書類選考だけでなく応募者の適性検査・資質調査にAIを活用する「AI面接」のサービスも生まれています。
株式会社タレントアンドアセスメントが展開するのが「対話型AI面接サービス」の『ShaiN』です。人間の面接官のかわりにAIが質問事項を選ぶだけでなく、候補者の回答に応じて質問を変えたり回答が不十分な場合には詳細を確認したりすることも可能です。
AIが面接を行うことで、候補者や日程や場所に縛られず面接を行うことが可能になります。さらには採用側としても、面接官のリソースを削減できるだけではなくデータを活用したAIによる質の高い分析を得ることができます。属人的な判断や偏りが最小限に抑えられることも含めて現在注目されている事例の一つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか？今回は採用DXについてご紹介しました。
現代のビジネス環境では人材獲得が非常に重要なことを冒頭でもお伝えしました。採用面でも競合他社との優位性を獲得するためにDXは重要な要素となっており、効果的に導入することでビジネスの成功を支えることが期待されます。
